Let's GO FISHING

秋丸とトム・モーガンのコラボレーションロッド誕生物語


右:Tom Morgan 左:秋丸

ーはじめに
私は AKIMARU BAMBOO RODS のデザイン全般を担当している娘のちかこです。
この度、秋丸と Tom Morgan のコラボレーションロッドの完成、そしてアメリカでの販売開始に際し、 そのふたりのフライフィッシャーの間の物語にとても感銘を受けました。
Tom Morgan から届いたメッセージと共に、 その物語を日本の、出来るだけ多くの皆様にお伝え出来たらと思い、このページの制作を決めました。
完全なものが可能かどうかはわかりませんが、 私なりの努力と誠意を持ってお伝えしたいと思います。 

2014 年 ある晴れた冬の日に ちかこ

( 彼からの英文ストーリーを出来る限り正確に日本語に直した物です。文章中の Aki は AKIMARU のニックネームです。) 


初めてアキに会ったのは、2013年6月にアイダホ州ヘンリーズフォークで行われた竹竿師の集まりの時でした。



Tom Morgan から届いたメッセージの最初の1行目はこうでした。そして次のように続きました。



個人的に、彼の竿について知りませんでしたが、何人かの釣り仲間が、日本から数人のロッドメーカーが来ている事、彼らの竿は美しいだけではなく、優れたキャスティングロッドだと教えてくれました。 
その際アキを紹介され、私たちはビルダーとして何か特別な関係になる事を直感出来ました。 
アキは彼が持って来た竿の一本を観せてくれました。そこで彼の製作テクニックとロッドの素晴らしさを目の当たりにすることになったのです。
取り分け、私は竹で作られたフェルールに釘付けになりました。



秋丸はこのときのことを今でも時々私に話します。
突然 Tom Morgan が The Bamboo Rod Days の会場で AKIMARU という名を呼んだことを時間が経過した今でも変わらず、嬉しそうに。
Tom Morgan からのメッセージは以下に続きます。


アキはその際、彼と彼の生徒、そして通訳と一緒にモンタナにある私の工房を訪れても良いか尋ねてきました。 
もちろん私は是非来てくれと伝えると、数日後に彼らは来てくれました。 
彼らに私の工房を案内し、どうやって私がモーガン・ハンド・ミルを使用し、竹竿を作っているか見てもらいました。 
彼等は幾つかの私の竿を実際にキャストしてみて、とても気に入ったようで、楽しそうにキャストしていました。

この時、アキは彼のとても珍しい竹のフェルールの詳細を見せてくれました。 
それは私から見ても、とても軽く、斬新かつ革新的なジョイント方法であると感じました。 

私たちの濃密な素晴らしい時は数時間にも及びました。 それ以後、私は彼と頻繁に連絡を取り合いました。
その中で彼から、私独自の7フィート半4番の竿のテーパーで竿を作ってみたいとの提案がありました。 
はじめは私独自のテーパーを第三者に明かすことに少し戸惑いましたが、彼独自のバンブーフェルールを使用して私の竿を作ることに
大きな興味を抱き、彼にテーパーの数字を送ることにしました。

アキは私のデザイン上使用されていたメタルフェルールの部分をバンブーフェルールに変更するため、数字を調整し、その竿を完成させました。 
その後、彼からレポートが届き、その中には、彼がその竿に心底惚れ込んだと書いてありました。 
彼の顧客にもテストキャストしてもらったところ、絶賛されたことも書かれていました。 
結果的にこのコラボレーションが彼とのその後の関係を濃密な確かなものとしてくれました。


トムは良く釣りの夢を見ると言うのです。
その事に感動した秋丸がコラボレーションロッドを作り、そのロッドで一緒に釣りをしようと誘ったのです。



その冬の間に、アキから "WATAKE" と命名された竹材が送られて来ました。 

これまでに私が目にした竹の中でもトップクラスに美しい竹で、そのクリーンな美しさを、最初は信じられないと感じるほどでした。
これまでに何千本という竹を観て来ましたが、これほど美しいものを私は観たことがありませんでした。 
これほどの竹を使ってロッドを造ったことはありませんが、いつか造ってみようと思います。 アキと彼の生徒達は、2014年に、またアイダホの竹竿師の集まりへ来てくれました。 
 
私自身はこの集まりには行くことができませんでしたが、アキから連絡があり、私の工房へ是非また訪れたいと連絡がありました。 
もちろん是非来てくれと答えましたが、まず先に会って、後日、彼と仲間達が釣りに行けるようにと考えました。
そして完成したスペシャルロッド(私とアキのコラボレーションロッド)を持参しているから是非観てくれと言われ、私の心が踊りました。 
是非その竿のバフォーマンスが観たいと思い、待ち合わせの場所をエニスにし、私の一番好きな川、O'Dell Creek で釣りもして貰う事にしました。 

この川で私は育ち、ドライフライの釣りの繊細さを学んだ場所でもあります。 
ちょうど良いハッチのある時期でもあり、ミディアムサイズの川幅で大きな鱒に出会えるすばらしい川だったからです。



Tom Morgan は多発性硬化症を患っています。車椅子での生活を余儀なくされています。
首から下が麻痺している いつも隣には奥さんがいらっしゃる 
秋丸がそう言っていたのを私ははっきりと覚えています。
彼からのメッセージは以下の様に続きました。




本来なら、私は釣りをするのが大好きでしたが、私は多発性硬化症を患ってしまい、身体が麻痺してしまいました。
私の釣りの日々は終わりを告げましたが、今でも私はキャスティングと釣りの熱心な観察者です。
私たちは O'Dell Creek で数日後に再会を果たし、まず川を観察。 
少しの間、注意深く川を観察していましたが、その日は良いハッチに恵まれていませんでしたが、とりあえず彼らに釣りをやって欲しいと思いました。
私はアキに " Let's Go Fishing "と告げると、彼と彼の仲間は三々五々に広がりながら川へと向かいました。 
しかしアキだけは私の近くで釣り、彼の釣りが見る事が出来ました。  

そこから見えるキャスティングはスムーズそのもので、いとも簡単にフライを運んでいました。
その時アキが使っていたロッド(=私とアキのコラボレーションロッド)は、このタイプの釣りには完璧な4番の竿だとうかがい知れました。 
残念な事にハッチがあまり無く、魚はアクティブだとは言いづらい状況でしたが、みんないくつか良いサイズの魚を釣る事ができました。 
それぞれが同じように O'Dell Creek が何か特別な場所だと感じたようで、私が何故この川が一番好きなのか理解してくれたようでした。
 
その数日後、彼らは私の工房を訪れ、私のテーパーデザインと彼のフェルールデザインがコラボレーションした竿をアキがプレゼントしてくれました。 
それに加え、彼が自分で使用するために竹で作った、ラッピングをコーティングする際に使用する竹のヘラを2本プレゼントしてくれました。 
その竹ヘラは何年にも及ぶ使用で美しく鍛えられ、かつ滑らかになっていました。 
私は彼の寛大さとその気持ちに心を打たれました。 

その日、私はもちろんのこと、妻の Gerri Carlson ともども、アキととても個人的な深い友情でつながれたことを感じました。 アキは私のテーパーデザインと彼のフェルールのデザインとテクニックを使って、彼の素晴らしいラインナップの1つとして
AKIMARU / TOM MORGANモデルロッド 7'6"#4weight Line 2pc " Aki & Tom" を発表しています。
このコラボレーションは私にとって特別に素晴らしいものとなりました。 
私はその竿が、たくさんの釣り人達に、彼らのお気に入りの川で多くの喜びを提供することを願っています。



"Le't s go fishing."
この言葉に含まれる本物の幸福を、私たちは知っているはずです。 
美しい川に入って自由に釣が出来る、その本当の意味を知り、 私は改めてこのコラボレーションロッドの誕生を心から嬉しく思います。 
そして、美しい道具で美しい川で、自由に釣が出来ることの喜びを、日本の、世界の、 出来るだけ多くの皆様にお伝え出来たなら
こんなに嬉しいことはないと思うのです。


さぁ。
"Le't s go fishing."

 



文章 : あきまるちかこ 写真 : 望月 雄大 メッセージ : Tom Morgan



この物語の元になった秋丸の "Aki&Tom" は、こちらのページでご覧頂けます。

●AKIMARU/TOM MORGAN
Collaboration Rod
"Aki & Tom"




●HEXA Standard MODEL


●HEXA High grade MODEL
for TOKYO Exhibition


●ACCESSORIES